学会出版物の紹介

『小学校・中学校・高等学校を見通した 12年間の「文学」の学び 』

東洋館出版社 2023年3月

千田洋幸・木下ひさし(監修)
笹平真之介・渡邉裕・今村行(編)
東京学芸大学国語教育学会(著)

本書の概要
国語の授業、特に「文学」の授業は教えることが難しいと言われています。教科書に採録された文学性の高い教材を、その内容を読み味わうと同時に、叙述や描写の工夫など、汎用的な読みの力の獲得を両立させる必要があるからです。そして、それは当然小学校の6年間、中学校の3年間だけではぐくむものではありません。本書は、小学校・中学校・高等学校という12年間を見通して、「文学」指導の何をどのように構想していくべきかを、理論と実践の往還から提案する1冊です。

本書からわかること
今次学習指導要領で示された「学校段階間の接続」の具体を提案 平成29・30・31年改訂の学習指導要領では、学習指導における資質・能力の「見通し」の必要性と実現可能性が示され、総則に「学校段階等間の接続」として明記されました。3つの柱で整理された資質・能力は、高等学校のカリキュラムまで一貫しています。本書では、その系統をわかりやすく示すため、小・中・高の学習指導要領から文学的な文章の指導事項を抜き出し、横軸を学年(発達段階)、縦軸を学習過程にして表に示し、12年間の学びの構造を表に整理しました。

12年間の学びを見通す観点を厳選
今次学習指導要領の国語科の大きな特徴に、思考力、判断力、表現力等の各領域で学習過程が示されたことがあります。読むこと領域では「構造と内容の把握」「精査・解釈」「考えの形成」「共有」にあたります。本書では、それぞれの学習過程の中から、より系統的な学びが可能であるもの、また価値がある項目をピックアップし「構造と内容の把握」「登場人物」「文体」「解釈の多様性」「ものの見方・考え方」「他作品との比較」という6つのトピックに整理しました。各項目ごとに、小・中・高の教師また大学研究者で構成されるチームとして理論と実践から研究をまとめています。 国語を教える教師に必要なもの 教師にとってはこの「1時間」「1日」「1年」が勝負です。しかしながら、子どもたちの学びはスパイラルな積み重ねであり、系統的に続くものです。教師は、子どもの3年後、5年後の文学の学びにも責任と覚悟をもち、10年後を見据えた学習を構想することが必要なのです。

『小学校 子どもが生きる国語科学習用語』 東洋館出版社 2013年

東京学芸大学国語教育学会・大熊徹・片山守道・工藤哲夫(編著)

学習用語を理解することで、子どもは変わる。子どもが学習用語を知り、理解することで、学習活動・言語活動が活性化する場面を実践を交えてわかりやすく解説。授業の中で子どもにそのまま説明できる学習用語140語の解説を五十音順に展開。

『子ども文化と国語教室 新しい国語教室の創造と探究』 三省堂 1997年

根本正義(監修), 東京学芸大学国語教育学会(編集)

「子ども文化」にまなざしを向けて子どもの「生きる力」を育む学びを具現化する21のアイディア・実践事例(豊富な作品例とともに、ビジュアルに提示)。田近洵一、高橋俊三をはじめ10人の研究者による観点別提言論文を収録。

『思考力を伸ばす読みの指導』学芸図書 1988年

東京学芸大学国語教育学会(編)

『思考力を伸ばす表現指導』 学芸図書 1983年

東京学芸大学国語教育学会(編)